今回は「CAD」「BOM」「PLM」についての話しです。
ラティスの製品、ソリューション、事業戦略について話すとき、もはやこれらの言葉を抜きにしては語れません。
互いに関連している概念ではありますが、それぞれの成り立ちはバラバラであり、その流れを知ることで現状の理解が進み、課題や XVL 製品のアピールポイントが見えてきます。
目次
CAD
Computer Assisted Design の頭文字を取っている訳ですが、根本は人間が書いていた図面をコンピューターを利用して早く、正確に作成することを目的としたソフトウェアです。
もともと、基本構想やイメージデザインがほぼ固まった詳細設計の段階で必要とされ、一人の設計者が担当する範囲、すなわち一つのモジュールなり部品なりを扱うものでした。
BOM
Bill Of Materials の頭文字から来ています。日本語では「部品表」と訳されますが、「表」からイメージするリストだけでなく、目的に合わせた分類や相互関係の情報も含み、ツリーで表現するような構造・構成も含んだ概念です。
「目的に合わせて」と書いた通り様々な内容がありますが、代表的なものは以下の通りです。
– Engineering BOM(E-BOM):設計部品表。製品に必要な部品や技術情報をまとめたもの。
– Manufacturing BOM(M-BOM):製造部品表。製品を製造するのに必要な部品や副資材をまとめたもの。BOP(Bill of Process、工程)と密接に関連している。
– 購買 BOM:部品の購買に必要な情報をまとめたもの。設計上の部品と購買単位が異なったり、同一規格の部品を仕入れ先によって区別したりする。
– Service BOM:メンテナンス用の部品手配に必要な情報をまとめたもの。修理部品の流通単位や提供元の違いに対応する。
– Enterprise BOM:現状では概念先行だが、共通部品化や既存リソースの再利用促進を目的に、すべての製品の部品や資材、購買情報などをカバーするもの。Enterprise Resource Planning(ERP)と連携することが謳われる。
PLM
Product Lifecycle Management の頭文字で、製品ライフサイクルの情報を包括的に管理する概念です。
成り立ちとしては、まず図面データ(紙図面のスキャンデータ(TIFF, PDF, …)→ 2D CAD データ → 3D CAD データ)の管理(保存、版管理)システムとしてスタートし、Product Data Management の頭文字から PDM と呼ばれていました。
そこに、CAD や DMU(Digital Mock Up)との連携や、BOM 管理機能、構想設計機能などが統合されていき、PLM と名乗るようになっています。
さて、現在の CAD には一般的にアセンブリを扱う仕組み(CATIA V5 の CATProduct、SOLIDWORKS の sldasm など)が存在しますが、ベースの発想がモジュールまたは部品単位の作図なので、大規模アセンブリを扱ったり様々な BOM の構造を表現することは本来不得手です。(PC 性能が上がり、技術的ハードルは下がっています)
また、PLM システムは CAD データの管理からスタートしているために、単一の構造でデータを管理する、すなわち E-BOM を中心としたデータ構成が基本となり、複数 BOM への対応が立ち遅れています。(ここは、ユーザー側の運用の課題も大きいです)
このような背景があって、XVL ソリューションは大規模アセンブリ対応、マルチ BOM 対応をアピールポイントとしているわけです。