豊田支店では、トヨタ自動車(以降:トヨタ)の困りごとを、最先端3DDXの代表格であるXVLを用いて解決し、未来のモビリティ造りをサポートしています。豊田支店メンバーの何名かはトヨタ本社に常駐し、車の企画から設計、生技からサービスまで各工程のトヨタマンと交流しプロジェクトを進めています。
常駐以外のメンバーはトヨタからのSI案件に対し、プロジェクトマネージャーを務め、トヨタグループ各社の困りごと対応など、ある意味トヨタとトヨタグループをXVLで繋いで効率化を図る仕事をしており、お客様にも大変喜ばれております。
目次
なぜトヨタがXVLを必要とするのか
XVLは曲面情報を持った3Dの中では世界最高峰の精度と軽量性を持っています(しかも国産)。三角形のポリゴンの集まりで表現した軽い3Dは世の中にたくさんありますが、それでは車の各工程における検証には使えません。やはり信頼性の高い車を作るためには、正確な曲面が必要になってきます。となると設計が使っているCATIAなどのネイティブCADを使う発想に至るのですが、車1台分のCADデータとなると、最新のPCでもデータが重くて使い物になりませんし、ライセンスも高額で費用対効果がでません。そんな状況を25年以上前に解決したのがXVLです。XVLで「きれいな曲面を持った車一台分の3D」を初めて見て、トヨタの方が感動されていたそうです。ここから車づくりにおけるXVL検証が始まりトヨタの競争力の一部になりました。
XVLによる業務革新
XVLで車1台分の3Dが標準的なPCで見られるようになると、仕事のやり方がより細分化され機動性が増します。設計など作図する領域はCATIAなどのネイティブCADが必要ですが、作図が要らない領域は意外と人口が多く、試作部や各生技ショップからXVLを検証やドキュメンテーションに使いたいと求められました。ここが作図機能を捨てたXVLの出番です。従来は重いCADデータから一部を切り出して、トヨタでも社内に数機しかない高スペックPCで大型モニタに表示させ、各担当が大きな会議室に集まって行っていた3D検証が、XVLを使うことにより、データを切り出さずに、個々のPCで手軽に行えるようになりました。圧倒的な費用対効果と、各担当の時間が解放されたことにより機動性が上がり、より良品の作りこみができるようになりました。このようなトヨタの仕事を環境整備やXVL製品のレクチャーを通じてサポートしております。
XVLは3D図面流通手段としてトヨタが採用
トヨタは3D図面を仕入先様に向けてネイティブCADを流通させています。ネイティブCADは閲覧するだけでも数百万というライセンス費用が掛かるため、今まで無料の紙で見ることができていた図面が高額有料になってしまいます。そこで無償Playerも有するXVLが紙の代わりの流通手段として採用されました。ただの閲覧手段にとどまらず、XVLが3D図面特有の付加価値機能を有していることにより、従来の2D図面に比べてデジタル情報を生かしたまま活用できる環境を整えることに成功し、トヨタグループ全体で効率化が図れるようになりました。逆にXVLは3D図面から2D図面を3クリックほどで作成する機能を有しているので、トヨタ仕入先様の過渡期にも対応できました。最先端の図面のあり方までも、我々豊田支店のメンバーが要件調整などを担当し、トヨタ内でのXVLバージョンアップ日程などを決めています。
豊田支店の強力なチームワーク
トヨタ内には「XVL窓口」という部署があり、トヨタすべての部署からXVLに関する問い合わせが来ます。(XVL利用部署数は164部署。25年度時点)。その問い合わせから様々な案件に繋がります。
ある時、エンジン部門からXVLの導入相談がありました。エンジン部門はCreoなどPTC製品を使っている部署なので、意外でしたが、私自身の工数が限られている中、豊田支店のメンバーがすぐサポートに入ってくれたおかげで、スムーズに導入が進みました。豊田支店のメンバーには、検証作業が迅速で得意な方、ユーザーの困りごとの本質を見抜く力が高い方、丁寧な対応でユーザー同士の議論を促進することがうまい方など、それぞれが自身の強みを活かして、まさに少数精鋭で動いています。その結果、XVLはエンジン部門でも高く評価され、その後ユーザー同士の交流で広がり他部署との連携にもつながりました。XVLにいくら技術力があっても、チームの人間力なしでは、活用は広まらないなと改めて実感しました。「ユーザーは今!困っている。今!助けないと」といった意識が豊田支店の方々にはあり、ユーザーの目がハートマークになっているのをよく見かけます。ほんといつも豊田支店の方々に感謝しております。
柔軟な働き方と成長支援
豊田支店では、(あたりまえですが)有給休暇を柔軟に取得できるほか、日々の業務を通じてトヨタ独自の高度な製造プロセスや最先端の自動車技術を学ぶ機会が豊富にあります。実際のプロジェクトを通して、設計から製造、トヨタの販売店におけるサービスまで一貫した知識を身につけることができ、自動車業界での専門性を深めることができます。また、現場での実践的な経験を積むことで、技術力だけでなく、プロジェクトマネジメントや問題解決能力も自然と向上します。最近のトヨタの文化として「わからないことをそのままにしない」があると思っています。我々はある意味「アホなふりをする」と言っていますが、トヨタが求めていることのレベルが高すぎて、トヨタの中の人でも理解が追い付かないこともしばしばあり、皆がその状況を感じているので、お互いに質問しやすい雰囲気がユーザーとの間でも存在しております。
今後はサーキュラーエコノミーなど、トヨタからXVLに求められていることはまだまだたくさんあります。あれはどう?これはどう?といった感じでワクワクしながら正解のない世界をXVLで一緒に変えていきましょう。