2025年11月、令和7年度「卓越した技能者(現代の名工)」に当社のエグゼクティブフェロー・原田が選出されました。
この選出・受賞を記念し、インタビューを実施しました。ラティスの技術向上に長年携わってきたからこその思いをぜひ感じていただければと思います!
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お話しを聞いた人:原田 毅士さん
東京大学工学系研究科精密機械工学専攻修了後、株式会社リコーに入社。同社ソフトウェア研究所にて 『ソリッドカーネル DESIGNBASE』 の研究開発(主にフィレットやオフセットなどの曲面生成機能を開発) に従事。その後東京大学より工学博士号取得。
ラティス・テクノロジーでは技術開発の中核として長年にわたり活躍。現在は若手エンジニアの育成にも力を入れている。
ーこの度は受賞おめでとうございます。受賞の一報を聞いたときの、率直なお気持ちをお聞かせいただけますか。
「現代の名工」というと手足を動かし実際のモノを作る職人というイメージがありましたので、IT技術とりわけ3Dデータ処理技術でこの賞をいただけたことは大きな驚きと喜びがありました。また、XVL技術は私一人で作ってきたものではないので、これまでXVLに関わってきたすべてのみなさまに感謝いたします。
ーXVL技術の開発を主導し、製造業の問題解決に大きく貢献したことを評価されての受賞ですが、これまでの開発で印象に残っていることを教えてください。
2002年から2003年ごろの話です。最初に開発したXVL (P-XVL) は性能が悪く、トヨタ自動車株式会社様(以下、トヨタ様)の車一台の3Dデータを表示することすらできませんでした。このとき経営的には苦しい状況にあったのですが、トヨタ様から「XVLで車一台分を高速に表示でき、かつ断面や干渉チェック行えるようになれば、車開発のデザインレビューで大きな効果が出せるので、XVL製品を購入し受託開発費を出せる」という話を伺いました。この状況で、3カ月という短い期間で世界最高水準の性能をもつ新しいXVL (V-XVL) を開発し、そこから2年ほどかけて最終的にトヨタ様の実運用に耐えうるXVL製品を納入することで、経営的にも安定しました。このときの状況は、今でもよく思い出します。
ー技術をアップデートしていく中で重視されていたことはありますか。また、それを実現するために取り組んでいたことや心がけていたことがあれば教えてください。
シーズとニーズという言葉があります。シーズとは、まだ実際に役立つかどうかは分からないけど面白そうな技術、ニーズとはこういうもの (技術) があれば実際に役立つという情報。これら2つがマッチングした技術が、世間で優れたものとして評価されます。
私は自分の3D形状表現・処理技術については世界にも引けをとらないと考えていたのでこれをシーズと考え、お客様とよく会話することで数多くのニーズを聞かせていただくことに注力しました。特にXVL開発の最初のフェーズでしたが、お客様からお聞きしたニーズをすぐにXVLに実装してお客様に見ていただくというループをよく回しました。今でいうアジャイル開発ですね。このループは自分の成長に大きく寄与したと考えています。
ー経験の浅いエンジニアが日頃から心がけておくと良いことはどんなことだと思いますか。若手の育成に携わる立場からの視点で感じることがあればぜひご共有いただきたいです。
自分が取り組んでいる技術的な課題を解く上で、分からないことがあれば先輩でも書籍でもAIでも躊躇なく聞くこと、そして一通りベースとなる知識を得たあとは「自分自身で」しっかり考えて課題解決に取り組むことかと思います。
特に自分で考えて行動することは、簡単にできるようでできていないことが多い。たとえば、調べていく中で課題の解答がそのままの形で見つかり、それをコピーしたら解決するケースがあったとします。このとき、「なぜ解決できるのか」を考えずに解答をコピーしただけでは、自分の成長の機会を逸することになります。
「知識を得るための時間」と「自分で考えてアウトプットを出す時間」を明確に分けて意識し、前者はできるだけ効率的に、後者は非効率でもよいので試行錯誤を含めできるだけ深く行うのがよいと思います。
ー今後のソフトウェア開発・技術開発を担う若手エンジニアにメッセージをお願いします。
自分が「この技術については誰にも負けない」というものを、AIを最大限活用しできるだけ早く身に着けるよう努力してください。
AIの時代になり、技術的な課題が明確であれば一般的な解答は容易に得られる時代になっています。今後は「お客様に役立つ課題を自ら設定できる技術」と「AIではまだ正答が得られない専門性が高い分野の課題を解決する技術」が重要になると考えていますので、AIを最大限活用してこれらの技術を早く身に着けるよう、がんばっていただければと思います。















