勝手に書籍紹介

合理的な選択は難しい?

細々と続けております書籍紹介。久々に「これは!」と思ったのでご紹介します。
「予想通りに不合理」@ダン・アリエリー(熊谷淳子訳)です。
(有名なのでご存知の方も多いかも・・・)


これは行動経済学を取り扱った本で、人が「なぜそれを選ぶのか?」ということを様々な実験をもとに説明しています。行動経済学とはWikipediaによると・・・

行動経済学(こうどうけいざいがく、英: behavioral economics)とは、経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法である。

経済学だと人間=合理的という前提がなされることが多いですが、実際は人って説明できないような不可思議なことも多くしていますよね。
本書では、その「説明できないこと=不合理なこと」を様々な実験をもとに解き明かしています。色々なテーマがあるのですが、個人的に興味深かったのは次の2つ。

・社会規範のコスト
・先延ばしの問題と自制心

1つずつ簡単にご紹介します。ぜひ興味を持った方は手に取ってみてください。(公立図書館でも取り扱われています)

 

・社会規範のコスト
著者は「社会規範」と「市場規範」の二つの世界に私たちが生きている、といいます。
例えば他の人のためにドアを開けてあげる、といったすぐにお返しなどが発生しないお金の絡まないほのぼのしたことを社会規範といい、お金の絡むこと(賃金や価格など)を市場規範としています。


例として、弁護士に30ドルで退職者相談に乗ってほしいと持ち掛けたところ断られたというエピソードが載っています。その後、無料で相談に乗ってほしいと持ち掛けたところ、多くの弁護士が引き受けると答えたということです。前者なら「少しでもお金をもらえるのになぜ?」と思われたかもしれません。

この実験結果から、著者はこのように言っています。

・お金の話が出た=市場規範を適用し、市場での収入に比べて提示価格が足りないと考えた
・お金の話抜き=社会規範を適用し、進んで自分の時間を割く気になった

合理的に考えると、同じことをして30ドルをもらえた方が得のように感じるのではないかと思われますが、こうした例から物事には金銭の規範を持ち出すことでうまくいかなくなるケースがあり、著者は人をやる気にさせる方法として”お金に頼るのが大抵最も高くつく”と結論づけています。(意外だけど言われてみたらそうかも!)

 

先延ばしの問題と自制心

そうすべきだとわかっていても なかなかできないことがありますよね。

・ダイエット
・貯金
・節酒

(ちなみに@中の人は節酒以外ココロ当たりありまくりです)

このように「なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか=つかの間の衝動によって長期目標から外れてしまったとき、どのくらいの損失を被るのか(先延ばし)」という心理的な部分も行動経済学では研究範囲になるようです。

本書内では学生の行動を実験材料としてこの「先延ばし」の問題に触れています。

それは、「①複数のレポートの締め切りを学生自身に決めさせるクラス」と「②学期の最後に提出すればよいとしたクラス」と「③期限を厳格に決めたクラス」の3つを比較した実験です。

実験結果は成績で見ることとし、三種類の締め切り条件での成績を比較したところ、③→①→②の順番で成績は良かったとのことでした。

(感覚的にわかっていることですが)自由を厳しく制限することが先延ばしには最も効果がある、という結果になっています。つまり“何かを達成しようとするのであれば、期限をきちんと定めること”(それは本人の意思決定でもよいことが①で証明されています)が重要だということです。当たり前すぎることですね。

パーキンソンの法則で”仕事は与えられた時間だけ膨張する”というものがあります。※大分雑に表現しています。パーキンソンさんごめんなさい。

これは個人的にも実感するところで、短期利益に目が眩んで(今日:しんどいからやらない → 明日:今日もしんどいからやらない → 明後日・・・以下続く)最終的に〆切日に慌ててやっている、ということもあります。(最近は減りましたが;)

仕事では”合理的な選択”を求められるケースが多いですが、そもそも合理的な選択と言っている時点で、人=非合理的な選択をするイキモノだということなのだとも思います。

ただ、それ故に人の個性が出て、”面白い”ところなんじゃないかな、と本著を読んで再実感した次第です。

 

 

非合理だからこそ人は面白い。いつだって「ダイエットは明日から」なのです。笑